No.140 (「日本のファシズム」)  : 

「日・独それぞれのファシズムの違いとは何か?」

大戦後のドイツの危機の責任を、共産主義や議会主義にみたヒトラーは、
全体主義を目指し大衆を巧みに扇動して、1932年にはナチス党を第1党に
まで発展させ、その翌年の1933年に政権を掌握し一党独裁を実現した。一
方日本では、1931年に軍部が独走して南満州鉄道を爆破した柳条湖事件か
ら満州事変が起こり、軍部による政府無視が始まる。しかし、ドイツやイ
タリアと違って独裁者は日本には現れなかった。

<評価の観点>
関心・意欲・態度:

イタリアやドイツと同様、ファシズムの軍事国家とされる我が国であるが、
ヒトラーのような独裁者が生まれなかったことやその理由に、大きな関心
を持って学習に臨んでいる。

思考・判断:

排他的な国家主義と、大衆の人気取り的な社会主義が並立した、ナチスの
政策の内容やその効果等について、的確に判断している。

資料活用の技能・表現:
ヒトラーの「つくなら大きな嘘をつけ」という言葉が出てくる『わが闘争』
中の文章を読んで、「国家社会主義」を党名に盛り込みながらの反社会主
義や、「最後の領土的要求」といいながらチェコスロヴァキアを解体した
ことなどの、「確信犯的」な政策について考察している。

知識・理解:
1932年には第1党にまで発展、翌33年に政権を掌握し一党独裁を実現した
ヒトラーによるナチス=ドイツと、1931年に満州事変を起こし、日中戦争
が全面戦争化して軍部独裁が進んだ我が国のファシズムの違いについて、
基本的な知識を身につけている。